◆津波記憶石32号 宮城県気仙沼市鹿折
鹿折地区は、東日本大震災における大津波に襲われ、またその津波により数百トンクラスの漁船をはじめ多くの船舶が陸上に打ち上げられ、倒壊・流出した重油タンクから漏れ出た油に引火し大規模な火災となり、約10日間にわたり延焼を続け、町は壊滅的な打撃を受けました。
計画は地元有志が、全優石が始めた“津波記憶石プロジェクト”を知り、当地でも建立できないかと気仙沼市に相談し、市より全優石に同地での津波記憶石建立の打診があり、「鹿折津波記憶石実行委員会」が結成され進めてきました。
◆Design Concept~未来への伝言 鹿折の3地域を一つの輪で~
2017年11月現在、未曾有の被害をもたらした東日本大震災から6年8か月が経過し、鹿折地区は店舗や住宅再建が進み、住民の暮らしの復興も始まっています。
しかし、日常生活を取り戻し、新たな生活をする上で忘れてはならないことの一つに、大津波によって多くの命が失われたという事実があります。
大丈夫だと思って逃げずに津波にのまれた人。
家族を探しに行ったり、助けに行って犠牲になった人。
逃げる方法を間違えて津波にのまれた人。
防潮堤があるからと安心して逃げなかった人、等々。
二度とこのような犠牲が起きないことを心から願い、忘れてはならない命の尊さ、忘れてはならない津波の恐ろしさ、津波の事実と教訓を残したい。
そうした想いを込めながら、
鹿折全体を、鹿折中心部・白山地区・浦島地区の3つに分け、3つの地域が互いに手を取り合って、二度と大きな犠牲を出さないように未来に伝えていく為、現在ではとても貴重な石材六方石を中心に配し、各地域のシンボルとなる、かもめ(中心部)、ユリの花(白山地区)、ポンポン船(浦島地区)の刳り抜きと、地域の子供達や住民から集まった『未来への伝言』を彫刻した石碑を、その周りに配したデザインとしています。
◆碑文
鹿折津波記憶石~未来への伝言~
■発生日時 平成23年3月11日(金)14時46分頃
■震源 三陸沖(北緯38度06.2分、東経142度51.6分)
深さ24㎞
■規模 マグニチュード9.0 最大震度6弱(赤岩)
■津波浸水高 11.56m(神明崎付近)
■鹿折地区の死者数 206人(平成29年4月30日現在 気仙沼市調べ)
■鹿折地区の家屋被害数 3847棟(平成26年3月31日現在 気仙沼市調べ)
■鹿折地区全体の家屋被害の割合 60.9%(平成23年9月30日現在 気仙沼市調べ)
■震災時の様子
鹿折地区は東北地方太平洋沖地震で大津波と大火災に襲われ、壊滅的な打撃を受けた。
大津波により、数百トンクラスの漁船をはじめ多くの船舶が陸上に打ち上げられ、倒壊・流出した重油タンクから漏れ出た油に引火し大規模な火災となり、約10日間にわたり延焼を続けた。